「英語で考える」を軸に、スピーキング力はもちろん、ライティング力も鍛えることができる学校向けオンライン英会話レッスン『ロジカルスピーキング』シリーズ。 「社会課題編」では、学研グループで途上国開発に携わるアイ・シー・ネット株式会社(以下、IC Net)の海外駐在者が制作に協力しています。今回は、2023年4月にリリースする『ロジカルスピーキング社会課題編アドバンスト』のコラム執筆者の中から、インド駐在の IC Net大西さんに、インドの現状や現地で暮らすなかでの気づきや課題についてお話を聞きました。

IC Net 大西 由美子

2004年にIC Netに入社。南アフリカの農村開発のプロジェクトで2年間の任期を終えたあと、昔インドに住んでいた経験からインドのプロジェクトに参加。ODA(※)の評価の仕事を中心に農村の調査や開発、インド進出を考えている日本の中小企業にビジネスコンサルティングなどを行っている。

※ODA…開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動

一生続けたいと思う、途上国開発の仕事

私自身、子供の頃は父の仕事の関係でタイやアメリカに住んでいました。幼少期はタイで過ごしたのですが、その頃は首都のバンコクでさえも途上国の雰囲気がありました。日々の生活の中で日本と大きな違いを感じており、大人になったら途上国のためになることがしたいと考えていました。

 

日本政府は途上国にお金を貸したり、技術協力をしたりしています。私の仕事は、プロジェクトや事業が終わった後、日本の資金がどのように使われたか、日本の支援がどのような成果やインパクトを与えたのかということを評価することです。

 

苦労もありますが、国際協力の仕事をしていると日本の支援でこんな風に生活が変わった、こんなインパクトがあったというのを感じることができます。特に、地域の人がとても嬉しそうに話してくれる姿を見ると、自分も幸せな気持ちになります。好きで始めた仕事なので飽きることもなく、いろいろな場所に行っていろいろな人と関わることができるこの仕事は、一生続けられる仕事だなと思っています。

日本の当たり前が当たり前ではない世界

インドに来たばかりのころは、考え方や価値観の違いからコミュニケーションの難しさを感じることもありました。例えば衛生面で言うと、インドではゴミのポイ捨てが多いのですが、「公共の場はきれいに保つ」という日本では当たり前のマナーがインドでは当たり前ではないのです。

 

文化や社会的背景が違うので、こちらが意図していることをインドの人に理解してもらうことは難しい時もあり、意見が食い違うこともありました。今ではインドに10年以上住んでいることもあり、インド人の価値観や考え方が以前よりも理解できるようになったと感じています。

社会課題を体感、日常生活でも感じるインドの大気汚染

社会課題編アドバンストLesson2「大気汚染」のコラムでは、インドの大気汚染問題について書きました。私の住んでいるデリーでも、冬は目に見えて空気が悪いのです。あまりにもひどいと視界不良で交通事故が起きたり、飛行機が欠航したりすることもあります。私がデリーに住み始めた頃から大気汚染は感じていたのですが、ここ10年くらいでさらに深刻になっていると感じます。国もいろいろな手を施しているのですが、簡単になくなる問題でもありません。

 

特に最近問題となっているのは焼畑農業です。デリーの北部に農業の盛んな地域があるのですが、広大な農地に火をつけて作物の残骸を焼き払うため、とてつもない量の煙がどんどんデリーの方に押し流されてきます。これを防ぐため、焼畑農業に変わる施策も政府から出されているのですが、農家側からするとコスト的に見合わないこともあり、なかなか状況は改善していきません。コラムに書いていることは、実際にインドで起こっていることなのだということを皆さんには感じて欲しいです。

社会への関心は、インドの若い世代にも

例えば裕福な家庭だとお手伝いさんがいるケースが多いのですが、こういった非正規雇用の方々の社会の制度で守られていない部分を雇っている人ができる範囲で助けていこうという共通認識があります。

インドの高校生や大学生も、SDGsをはじめとした社会をより良くするためにできることを意識していると思いますし、インドにも解決しなくてはならない問題がたくさんあるということを感じていると思います。インドは日本ほど学校の課外活動が盛んではないので、意識の高い人が手を挙げてボランティア活動などに参加しています。エンジニアになる人も多く、そういった技術で社会に貢献したいと考えている若い世代も多いと感じています。

 

インドには経済的に貧しい人がまだまだ沢山いるのが事実ですが、もちろんポジティブな面もあります。政治家や企業のトップの女性比率は日本より高いですし、デジタル技術が盛んに使われているため、田舎でもモバイルマネーやアプリでの決済が当たり前のように行われています。他にも文化や民族など、インドにはたくさんの魅力があります。

 

使える言語が増えれば、自分の世界も広がる

今回は私が住んでいるインドのことを中心にお話ししましたが、ここでは語りきれない興味深い側面がたくさんある国です。もしインドに来る機会があれば、皆さんが持っている固定的なインドのイメージが変わり、奥深さを知っていただけると思います。

 

英語については、使えるとこんなに便利なのだと自分の人生を振り返って強く感じます。使える言語が増えると、コミュニケーションが取れる人が圧倒的に増え、世界が大きく変わると思います。仕事では英語を使っているのですが、海外の人も「日本人は英語の読み書きは得意でも話すことは苦手」というイメージを持っているように感じます。そのイメージを皆さんに変えて欲しいと思います。

興味や関心が広がる、ロジカルスピーキング

『ロジカルスピーキング』は英語で論理的に「話す」ための「型」を学び、その「型」を用いて、「大学に行くべきか」といった身近な話題から「海洋プラスチックごみをなくす方法」といった社会課題まで、オンライン英会話とワークブックによって英語で論理的に自分の考えを伝える力を磨いていきます。
編集者からのコメント

ロジカルスピーキングシリーズのワークブックには、全テーマにコラムページが付いています。社会課題編では大西さんを始め、各テーマの社会問題に関する世界の現情に精通したメンバーが、コラム文面を執筆しました。社会問題はいくつもの要因が複雑に絡み合っており、また国や地域によっても原因が異なる場合があります。そのため、調べるほどに様々な角度からの解決方法があることが分かってきます。ワークブックやオンラインレッスンを通して社会問題に関する知識を広げ、自分の考えやスピーチをブラッシュアップしていくことができるようになるはずです。英語力育成だけではなく、論理的な思考力を身に付ける練習にも使ってもらいたいと思います。

株式会社Gakken 英語教育クリエーションチーム多田 香織

実際に海外に行ってみたい! ICNetは年間を通した探究活動や、海外への探究旅行もアレンジしています。

国際開発援助における人間・社会開発分野のリーディングカンパニーとして、高い専門性と豊富な途上国開発実績があるIC Netは世界中に広がるネットワークと現場力をベースに幅広いプロジェクトに従事、SDGsの17のゴール全てに貢献しています。

 

貴校のご希望に合わせて、海外渡航前後のプログラムもプロデュース。自分で探究課題を設定し、準備をしていくことで海外渡航での経験がより自分ごととして捉えられるようになります。渡航先や探究内容など、すべて途上国支援に理解が深い担当が先生のご相談に乗りながらアレンジさせていただきます。

社名:アイ・シー・ネット株式会社(IC Net)

設立:1993年10月1日、2019年9月学研グループに加入

本社:埼玉県さいたま市中央区新都心11-2  LAタワー27階               

社員:199人(2022年4月)

事業内容:

ODAコンサルティング事業、海外展開支援事業、人材育成事業、スタートアップ支援事業

主要取引先:

国際協力機構(JICA)、世界銀行、米州開発銀行(IDB)、アジア開発銀行(ADB)

海外拠点:

タイ、カンボジア、ラオス、バングラデシュ、アメリカ、 スリランカ、ケニア、トルコ

※お問い合わせの際は、備考欄に「IC Netプログラムについて」とご記入ください。